本展覧会は、10余年続けたグラフィック&エディトリアルデザイナーを休止し、玩具作家として活動してきた5年間の集大成とも言えるものとなりました。静かに鑑賞するタイプの作品とは違い、触れることで動き出す絡繰(カラクリ)作品を中心とした展覧会は、天神山文化プラザの企画展では異色だったのではないでしょうか。
「絡繰とは?」お客様に作品の動きを見て頂きながら解説する時、自分自身にも毎回新たな発見があります。ハンドルを回すと、その運動が逆回転になったり直角に移動したり、空中で大きな輪を描く円運動になったり、左右にスライドしたり。絡繰とは自ら能動的に関わった初期動作が、違う動きに化ける仕組みとも言えます。
現代は様々な仕掛けがブラックボックス化された世界です。その仕組みを問い、理解する時間を持たせてはくれる程、目まぐるしく変貌していく世界でもあります。
私の作品は玩具という形を取りながら、現代人が日常的に使っている「仕掛け=絡繰」を可視化することをテーマの1つとしています。それは私が、与えられた仕組みに疑問を持ち、仕掛けを知ろうとする心を取り戻すために辿った5年間の軌跡でもあります。
関野倫宏
龍とウサギの大きな振り子が存在感を放つ展示室。
そのとてつもない大きさゆえか、気分はまるで、ガリバーの世界。
1点だけで支えられただけの龍やウサギは、
手を触れると、ふわりふわりと揺れを繰り返し、
ゆっくりとした動きで、眺める私の日常のテンポをくるわせてくれた。
そして、振り子を取り囲むように置かれた、木の絡繰おもちゃたち。
メカにめっぽう弱い私でも理解できる明快な仕掛け、
自らの手によって動き出す安心感、動きに合わせてカタカタと鳴るやさしい音色。
自分と自分が作用するものとの関係が徐々にシンプルになっていく…。
早回ししすぎる、難しくしすぎる私たち。
関野さんの作品は、遊び心とユーモアを通じて、
自分を返る場所へと引き戻してくれるのだ。
株式会社 ビザビリレーションズ LLIO編集長/白川久美
岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.44 関野倫宏展 干支もの ETO-MONO 〜初春のお喜びを申し上げます。〜
[会期]2012年1月31日(火)〜2月5日(日)
[会場]岡山県天神山文化プラザ 第4展示室
関野 倫宏
1971 岡山市に生まれる
1994 武藏野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
1994 岡山に戻って以来12年間、デザインを生業とする
2006 岡山県北部の現代玩具博物館・オルゴール夢館に勤務する傍ら、木工玩具の創作を始める
2009 西粟倉・森の学校 立ち上げに参加(同年8月までの半年間)
2009 [関野意匠室+絡繰堂]を創設
2010 カフェ×アトリエZにて初個展「関野絡繰堂展」開催
2011 [関野意匠室+絡繰堂]として独立
拠点を[製作所:英田郡西粟倉村/事務所:岡山市北区高松]とする
2011 天満屋倉敷店にて「森に遊ぶ 絡繰+絵画 -関野倫宏·関野智子2人展-」 開催
2011からつ鎌田屋・愉蔵(美作市)にて「森に遊ぶ 絡繰+絵画+音楽」開催
2012 岡山天神山文化プラザにて 天プラ・セレクションvol.41「関野倫宏展 - ETO-MONO 〜初春のお喜びを申し上げます〜」シファカギャラリーにて「関野絡繰堂 ロデオバード展」同時開催
出品一覧
タイトル|素材/技法/形状|サイズ(cm/縦×横×奥行き)|制作年
絡繰雲龍図|ターポリン印刷 絵画|300×180|2012
龍頭カム・レリーフ Ver.|木製オートマタ|24×28×7|2011
龍頭クランク Ver.|木製オートマタ|28×17×16|2010
水車クマ+ジオラマ|木製オートマタ|42×24×26|2010
黒揚羽蝶+花|木製オートマタ|53×25×35|2010
ととカツオ+ジオラマ|木製オートマタ|23×28×15|2010
ビアべア|木製オートマタ|18×16×26|2011
クマ人形|木製玩具|13×6×4.6|2011
一枚板の振り子 兎2羽 (200%)|木製振り子|30x55|2011
一枚板の振り子 龍と桃 (200%)|木製振り子|30x55|2011
一枚板の振り子 兎2羽 (1200%)|スチロール・木製振り子|180x330|2012
一枚板の振り子 龍と桃 (1200%)|スチロール・木製振り子|180x330|2012
モニュメント 一式|金属・木製ブロック|基尺1×1×1・倍寸2×2×2(24個)|2008-2012
絡繰機索 一式7種|木製オートマタ|14(最大)×8×12(7種)|2010
絡繰機素平行ギア (250%)|木製オートマタ|28×20×26|2011
絡繰機素直行ギア (250%)|木製オートマタ|32×20×26|2011
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本記事は、平成23年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。
編集・発行:岡山県天神山文化プラザ
発行日:平成24年3月31日
撮影・デザイン:池田理寛
印刷:株式会社 三浦印刷所
<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>
平成23年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集
岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2011年6月7日〜2012年3月4日の期間に開催された9人の個展の記録集として発行したものです。
<目次>
役重 佳廣 展|天プラ・セレクションVol.37
島村 敏明 展|Kontrapunkt ~対位法~|天プラ・セレクションVol.38
佐藤 安 映像展|middle way|天プラ・セレクションVol.39
石井 司 展|天プラ・セレクションVol.40
高本 敦基 展|Note:日常性の現場から|天プラ・セレクションVol.41
澤田 虚舟 遺墨展|天プラ・セレクションVol.42
小林 泰子 展|時のない森 |天プラ・セレクションVol.43
関野 倫宏 展|干支もの ETO-MONO 〜初春のお喜びを申し上げます。〜|天プラ・セレクションVol.44
光井 威善 展|天プラ・セレクションVol.45
カラー33ページ
税込1,000円
お問い合せ
〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ
TEL 086-226-5005
FAX 086-226-5008
メール tenplaza@o-bunren.jp
受付時間 9:00~18:00
休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)
「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。