天プラセレクションで個展をやってみないかとお話をいただいたときは、作品をいっぱいつくって床に並べればいいかなと安直に考えていました。
でも、ある方に「そんな展示では空間に負けてしまうし、一つひとつの作品も良く見えないよ。」と言っていただいてから、展示方法を悶々と考える日々が続きました。
結果、たどり着いた展示が今回の「三浦和展 -Mix up-」です。作品と空間の関係を改めて考えるきっかけになりました。
次はどんな作品をつくってどういうふうに展示しようかな…。そんなことを考えながら日々、ガラスを吹いてます。
三浦和
「軽くて小さくてかわいい」今のトレンドであるが、
まさに今回の三浦の作品はその事を連想させる物だった。
こんな事を書くと本人は、「いえ違います」と律儀に答えてくれそうだが、
会場に入り、まず発せられる声は「わーきれい」であり次に「かわいいー」だと思う。
案内状の作品は、スローモーションで降ってきた水滴が黒い平面に当たる瞬間の出来事のようで、透明に輝くガラスと美しいグリーン色が角の一つもないかたちの中に収まっている。会場入り口の正面の壁にセッティングされたこの作品は、御影石とかわらない比重を持つガラスを、無重力の中に浮かんでいるように軽々と遊ばせている。
壁にとどまってはいるが、透明感あふれる色を内包した頼りなさそうなかたちのガラスは、次の瞬間、ふーっと浮き上がり隣のガラスと入れ替わっているかもしれない。そんな質量のないエネルギーが、見る者の肩の力を抜き取り、楽しい気持ちにさせてくれるのであろう。
天プラセレクション推薦委員/ガラス工芸家 磯谷 晴弘
岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.48 三浦和展 Mix up
[会期]2012年9月18日〜9月23日
[会場]岡山県天神山文化プラザ 第4展示室
三浦 和
1980 岡山県玉野市生まれ
2002 倉敷芸術科学大学 芸術学部工芸学科 ガラス工芸コース 卒業
2003 エズラグラススタジオ ブロー硝子塾研究科 卒業
現在 妖精の森ガラス美術館 工房スタッフ
個展
2007-2010 磐田市新造形創造館ギャラリー(静岡県)
2008-2012 ArtBox SARASA (岡山市)
2012 天プラ・セレクション vol.48 「三浦和展 〜Mix up〜」(岡山県天神山文化プラザ/岡山市)
グループ展
2011-2012 湯郷アートプロジェクト(湯郷温泉/岡山) ほか多数
賞歴
2007 第25回朝日現代クラフト展 入選
2010 第61回岡山県美術展覧会 岡山県知事賞 受賞
三浦 和 WEBサイト
出品一覧
タイトル|素材/技法|サイズ|制作年|所蔵
かたまりのかたち|ガラス/吹きガラス|最大27×30×20cm、30個展示|2012|作家蔵
硝刻(しょうこく)|ガラス/吹きガラス|最大80×20×20cm、11個展示|2008|作家蔵
窓の向こう|ガラス/吹きガラス|55×33×33cm|2003|作家蔵
サイト訪問者からの連絡受付
事務局経由で受け付ける
本記事は、平成24年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。
発行:岡山県天神山文化プラザ
発行日:平成25年3月31日
編集:髙原洋一(岡山県天神山文化プラザ企画委員)
福田淳子(岡山県天神山文化プラザ学芸員)
デザイン:鳥越眞生也(鳥越屋)
撮影:加賀雅俊(べあもん)
印刷:株式会社 三浦印刷所
<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>
平成24年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集
岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2012年7月31日〜2013年1月13日の期間に開催された5人の個展の記録集として発行したものです。
<目次>
宗友 実乃里 展|存在の証明|天プラ・セレクションVol.46
光延 由香利 展|山が在ること|天プラ・セレクションVol.47
三浦 和 展|Mix up|天プラ・セレクションVol.48
長野 剛 展|天プラ・セレクションVol.49
【特別展】曽我英丘の世界|星宿の空間 書の造形|天プラ・セレクションVol.50
カラー33ページ
税込1,000円
お問い合せ
〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ
TEL 086-226-5005
FAX 086-226-5008
メール tenplaza@o-bunren.jp
受付時間 9:00~18:00
休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)
「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。