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カスパー・シュワーベ展|ars geometrica|天プラ・セレクションVol.66

更新日:4月17日



"ARS GEOMETRICA" means the art to measure the earth(Geo).

This includes mountains and seas, plants and animal and human life.

The measurement of the silver ratio(1.414)dominates the inorganic world.

The golden ratio(1.618)dominates the organic world of plants and animals.

Why is the golden ratio so often found in the living world? An answer could be that because the golden ratio is the most irrational sequence with no resonance at all, and therefore very stable.

If the sequence would be rational like doubling(2), we get strong resonance(octave)and that might lead to a collapse.

The geometric objects in this exhibition are related to the golden ratio and the human body.

Caspar Schwabe



「アルス ジオメトリカ」とは、地球(ジオ)を測る技術を意味している。

地球(ジオ)は、海(水)、山(鉱物)、植物、動物を包含している。

「白銀比」(1.414)は無機質(水、鉱物)の世界を支配する。

「黄金比」(1.618)は、有機質(植物、動物)の世界を支配する。

なぜ有機質の世界に黄金比が多く見られるのか。

黄金比は最も非合理な「無理数」の比率関係で、他と全く共鳴しあうことがない。

そのために非常に安定した比率関係になっている。

もし、その比率が2倍のように合理的な「有理数」のものであったら、強い共鳴が起こり、

どんな構造も遅かれ早かれ崩壊に至るであろう。

この展覧会の全ての幾何学オブジェは、黄金比と我々の身体と密接な関係にある。

カスパー・シュワーベ(翻訳:石井悦惠)



カスパー・シュワーベの著書「ジオメトリック・アート」(工作舎・刊)は、神戸芸術工科大学における彼の授業内容を 中心に、幾何学の魅力を紹介した本ですが、その共著者である石黒敦彦氏に本展について寄稿いただきました。


倉敷芸術科学大学の学生たちはArs Geometricaをどう「体験」したか?


倉敷芸術科学大学芸術学部「構成論」の受講生29人にArs Geometricaの展示とパフォーマンスに参加し、その体験をレポートしてもらった。彼らの多くは、シュワーベの幾何学アートに関心を持って入学してきた1年生である。

(以下「」は彼らのコメント)


多くの学生が「バルーンみたいに膨らんだ柔らかい」『完全二十面体』などを見て、「実際に見た様々な変化する立体は映像で見るよりも迫力や驚きがある」ことを知った。

『Tensegrity sphere』のワイヤーの張力で立体を形成する発想に「力強さ」を感じとり、意外にも「影がとてもきれいに写っていて鮮やか」な現象に注目している学生もいる。

授業でも扱った「トロフルックス」をパフォーマンスで見て「生物、化学、物理、芸術、娯楽など、どの視点から見ても非常に面白いものと思えるようになった。これだけ色々な視点から楽しめるのは螺旋構造が生命体と深いところで結びついているからと思う」という洞察を示す1年生もいた。

また女子学生の多くが『美人スケール』の黄金比で人体を測る発想に驚きと発見を感じていた。


学生たちのレポートには、幾何学は冷たい数理の世界のデザインに関わるものだという先入見が、この展覧会で覆されて、「幾何学は私たちの体の一部として存在し共存していてきっとまだ見つけられていない幾何学もある」と、生きた形の世界に関わるデザイン、アートの存在を知った喜びが語られている。


倉敷芸術科学大学・武蔵野美術大学 非常勤講師

石黒 敦彦


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.66 カスパー・シュワーベ展 ars geometrica

[会期]2015年8月4日(火)〜9日(日)

[会場]岡山県天神山文化プラザ 第3・4展示室


Caspar Schwabe

1953 スイス・チューリッヒ生まれ

2002-2004 神戸芸術工科大学 特任教授

2004-2015 倉敷芸術科学大学 教授

現在 神戸市在住、神戸芸術工科大学 教授


科学的なデザインとアートを専攻し、芸術と科学をテーマにした世界的な展覧会のディレクターを務める。 変形し折りたためる多面体をテーマにした美しい万華鏡「ペンタキス」を発明。


主な活動

1984 国際的な巡回博覧会「フェノメナ」の数学ディレクター

1987 チューリッヒに幾何学アートのフォーラム「AHAギャラリー」設立

1991 スイス建国500年記念博「EUREKA エウレカ」(チューリッヒ)数学部門ディレクターを務める

2002 「バックミンスター・フラー」展(神奈川県立近代美術館ほか巡回展)ディレクターを務める

2005 水島港まつり七夕飾り 最優秀賞受賞

2006 「世界で一番受けたい授業」(日本TV系列) 出演

2007 「シナジェティックス」パフォーマンス(ロードアイランド・デザイン大学)

2008 「数学ワークショップ」パフォーマンス(ミュンヘン工科大学)

2010 ザハ・ハディッドの設計の「Phaeno」における巨大万華鏡 設計(ヴォルフスブルグ)

2011 加計学園創立50周年モニュメントPhi-Scope 制作

2015 天プラ・セレクションVol.66「カスパー・シュワーベ展 ars geometrica」(岡山県天神山文化プラザ)

その他、多くの制作・発表+パフォーマンスを行う。


共著

「ジオメトリック・アート」(2007年/工作舎)


出品一覧

タイトル|素材/技法/形状|サイズ(cm)|制作年 完全二十面体 Final stellation of the icosahedron|ナイロン布、通風機 |φ400|2009

ダブル・コーン Double Cone|ナイロン布、通風機 |350×450|2010

Cocoon|ナイロン布、通風機|φ230|2011

陰陽鯱 Killer whale of Yin-Yang|ナイロン布、通風機 |φ160|2015

白銀比+黄金比(所蔵:加計美術館) Silver Dimension + Gold Dimension|木製ボード、チョーク |90x180 |2011

前川國男へのオマージュ:美人スケール+モデュロール Hommage to Kunio Maekawa:Venus Scale+Modulor|木材、Modulor|230×120 |2015

ポスター:杉浦康平デザイン Poster: Kohei Sugiura design|紙、パネル |50×70:5枚|2004

テンセグリティ Tensegrity Mast|カーボン|50×500|2004

テンセグリティ Tensegrity Sphere|チタン|φ170|2015

テンセグリティ Tensegrity Sphere|チタン|φ170|2015

テンセグリティ Tensegrity Sphere|チタン|φ340|2010

ハイパーモデル Geometric Hyper Models|金属|サイズ可変:9個|1995–2015

美人スケール Venus Scale|木材、アクリル、骨格模型|150×110|2015

ファイスコープ PhiScope + PhiScope Model|チタン、LED |50×50×80|2011

サイエンス・ウォール Science Wall|紙、パネル|40×240 |1991

黒竹のドーム Bamboo Dome|竹、ゴム|φ440、h350|2004

 

サイト訪問者からの連絡受付

事務局経由で受け付ける




 

本記事は、平成27年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.66 カスパー・シュワーベ展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:平成27年10月31日

印刷:株式会社 三浦印刷所

編集:福田淳子[岡山県天神山文化プラザ]

デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]

撮影:加賀雅俊[べあもん]

照明:池田正則[岡山県天神山文化プラザ]

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


平成27年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2015年8月4日〜2016年2月7日の期間に開催された6人の各展覧会の個別の小冊子を合本し、1年間の記録集として発行したものです。


<目次>

  • カスパー・シュワーベ展|ars geometrica|天プラ・セレクションVol.66

  • 丸山智代展|私の秘密の住人たち|天プラ・セレクションVol.67

  • 吉行鮎子展|エモーションが止まらない|天プラ・セレクションVol.68

  • 細見博子展|蝿女|天プラ・セレクションVol.69

  • 山本哲也展|袖は襟で襟はなくないものはある|天プラ・セレクションVol.70

  • 島田悠美子展|増殖する記憶 ―目に見えない生命のかたち―|天プラ・セレクションVol.71


カラー52ページ

税込1,000円


※各展覧会の個別の小冊子も発行しています(カラー8ページ/税込200円)


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。

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