いつもはCMやTV番組でのアニメーションの制作を主な活動としていますが、この度、初の個展ということで自分の創作に取り組むことができました。
それぞれの作品に自分なりの達成目標などを設定していましたが、全てのコンテンツに共通して課していたものは“来てくださった方が自分ルールを生み出し、遊んでもらえるか”でした。
出てきたアニメを捕まえようとしたり、自分の生み出すリズムに合わせてアニメを動かしたり…
動いて遊んで楽しんで、もっとアニメを好きになったり身近に感じていただけたら嬉しい…
そのような思いで「動・遊・楽 〜Do You Like Anime?〜」というサブタイトルをつけていました。
そして実際にそのような体験の場で、沢山の方々とお話ししたり感想を聞くこともできました。
特に「キャラクターがかわいい!本当にそこで生きてるみたい…」というお言葉は、アニメーターにとってとても嬉しいものでした。
普段の制作活動からはなかなか得ることのできない貴重な経験をさせていただきました。
山下真未
Exhibition Review
天神山には絵だけではなく、霊が住んでいるようだ。会期をお盆の真っ只中に設定するという荒わざに接して、展覧会に掛ける意気込みを感じた。こちらは尻込みをして最終日に何とか間に合ったので、生意気に批評する立場にはない。猛暑の中、涼しげなのが何よりいい。水族館を思わせる暗がりの中、かわいい生き物のキャラクターたちが、出たり消えたりする。手を叩けば水槽に沈んだ仲間が反応する。動かないはずのものがそれによって動くとなると、いくぶん怪談めいてくるが、お盆にぶつけたのはそういう意図があったのかと思いはじめた。時折反応しなかったが、それは戻っていた先祖の霊のせいだったかもしれない。
手をかざすことで動作するというのが、ここでのポイントで、これはなかなか美術にはなりにくい。センサーによる制御が意味することは、単に電子テクノロジーの話だけではないように思う。手を叩いたり、手をかざしたりするのは、太古よりの宗教的行為であって、手かざしとは念力によるパワーの移動のことだった。アニメーションとは正にそういう目に見えない磁力に反応して動くのであって、そうした自然宗教をアニミズムと呼んできたのだと思う。天神山ヒルズという高層マンションに住む青白い光の構想も、お盆ならではの企画に見えてきた。祭壇の前に出て、そのガラスシャーレに収まった神秘と不思議を目にして、ストゥーパかと思ったのか、それもお盆のもつ磁力のひとつだったか、自然と手を合わせていた。
天プラ・セレクション推薦委員/倉敷芸術科学大学教授 神原 正明
岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.85 山下真未展 動・遊・楽アニメ? 〜Do You Like Anime?〜
[会期]2018年8月15日〜19日 [入場無料]
[時間]10時〜17時30分(17・18日は20時、最終日は16時まで)
[会場]岡山県天神山文化プラザ・第3・4展示室
ワークショップ「自分のキャラクターをアニメにしよう!」
講師:山下真未・ナカガワヒロカズ
2018年8月18日(土)13時〜
もっと楽しむアニメ体験として、自分で描いたオリジナルキャラクターをアニメ化して動かしました。
山下 真未 Mami Yamashita
1985 山口県生まれ
2008 倉敷芸術科学大学 芸術学部 映像・デザイン学科 卒業
現在 岡山市在住
CM、デザイン、イベント系PV制作など広告系制作に携わりながら、
倉敷芸術科学大学 非常勤講師を務める
主な活動
2011 NPO情報セキュリティ研究所「さいぱと君」キャラクターデザイン
2014 岡山県玉島市「はぐろん」キャラクターデザイン
アニメーション制作
2014 大阪ガスCM給湯らく得保証『みんなで入ろう』篇
2015 ヒガシマルうどんスープCM『ヒガシマルうどんスープ 2015』
2015 関西アーバン銀行CM『アーバン・ギンコ登場』篇
2016 JR西日本 踏切事故防止『ストッピーくんのふみきり教室』
2016 マロニーちゃんCM『プチ!プチ!海藻麺 海女ロニー』篇
2017 グリコ アーモンド効果 Web CM『女性に嬉しいビタミンE』篇
2017 NHK杯全国高校放送コンテスト『ティーンズビデオ』 (キャラクターアニメーション制作)
2017 「てんまや冒険水族館」インタラクティブアニメ展示(天満屋岡山店/岡山市)
2018 「しまじろうプレイパーク」デジタルコンテンツ制作『みんなでウェーブ』、『にゃっきいのドキドキ森 (切り株内コンテンツ)』
2018 天プラ・セレクションvol.85 山下真未 展「動・遊・楽 アニメ? 〜Do You Like Anime?〜」(岡山県天神山文化プラザ)
出品一覧
タイトル|素材/技法|制作年(*全てサイズ可変) さわって! アニ文字'zoo|映像/インタラクティブアート|2018
隠れているのはだれ? |映像/インタラクティブアート|2018
パチパチ くらげ|映像/インタラクティブアート|2017
パチパチ paka paka paka|映像/インタラクティブアート|2018
海の生きもの 万華鏡|映像、ポリッドスクリーン(鉄製パイプ、プラ製パーツ、ポリエチレンフィルム)/インタラクティブアート|2017
スノードーム|映像/インタラクティブアート|2018
瓶の中の住人 〜天神山ヒルズ〜|映像、瓶、木材、MD/インタラクティブアート|2018
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本記事は、平成30年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.85 山下真未展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。
発行:岡山県天神山文化プラザ
発行日:平成30年12月20日
印刷:株式会社 三浦印刷所
編集:福田淳子[岡山県天神山文化プラザ]
デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]
撮影:加賀雅俊[べあもん]
照明:池田正則[岡山県天神山文化プラザ]
<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>
平成30年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集
岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2018年4月24日〜2019年2月3日の期間に開催された6人の各展覧会の個別の小冊子を合本し、1年間の記録集として発行したものです。
<目次>
秋山 基夫 展|詩からの自由/詩への自由|天プラ・セレクションVol.83
長原 啓 展|luxury2.0|天プラ・セレクションVol.84
山下 真未 展|動・遊・楽アニメ? 〜Do You Like Anime?〜|天プラ・セレクションVol.85
福井 一尊 展|在るものと 見えるものと|天プラ・セレクションVol.86
久山 淑夫 展|事実が有って存在させない真実・被爆汚染列島|天プラ・セレクションVol.87
加藤 萌 漆芸展|黒に潜む|天プラ・セレクションVol.88
カラー56ページ
税込1,000円
※各展覧会の個別の小冊子も発行しています(カラー8ページ/税込200円)
お問い合せ
〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ
TEL 086-226-5005
FAX 086-226-5008
メール tenplaza@o-bunren.jp
受付時間 9:00~18:00
休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)
「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。