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原田 よもぎ 展|青い国の話|天プラ・セレクションVol.91

更新日:4月17日




「字のない物語を描く」

わたしの絵を描く上での大きなテーマです。


人が物語を想像したとき、その中には香り・音・時間・温度・

風・季節・空気などすべてが含まれています。

私にとって一枚の絵は、何ページにもなる言葉よりも

多くを語り、無限の想像をさせてくれるものです。


見る人を立ち止まらせ、

色彩や物語にまみれさせ、

空想の中に呑み込ませたい。

どこまでも広がる物語を

見た人それぞれに想像させたい。


青い国の話、私の描いた青は

あなたにとって何の色でしたか。

魚が空を飛んだっていい。

私はずっとそう思っています。


原田よもぎ



Exhibition Review

 原田の言う「字のない物語を描く」とは、いったいどんな取り組みを言うのだろうか。今日、発表される多様な作品において、文字そのものを絵に描きこんだり、映し出すこと自体、珍しくない。だからこそ、あえて「字がない」と宣言するのだろうか。そもそも漢字の成り立ち、はじまりには「象形」などとある。ならばいまだ文字となる前の世界を描きだそうというのかもしれないと思ってみたり。加えて言うならば、さて絵と物語はどのように結びつくのか。

 文字、言葉による物語世界自体が芸術の一つであることを考えたり、絵の前に誰もが立ち止まり、想像の世界に思いを馳せることがアタリマエのことかどうかと思いを巡らせる。とどのつまり、そもそも絵とは何かと、問うてみたりもする。

 物語とは何かと思いを巡らすこととこの先どのように向き合い、加えて感情が言葉と密接な関係を持つ中で、それらとはたして無自覚でいられるのかどうか。


 時を越え、文化を越えて、多くの人の目を自分の絵に向けさせ、その物語に誘う試み。見る者が絵から目を離さず、その先にある何かしらと結ばれるために、作者はこれから何を描き出して行くのか。さながら「はじまりの木」のごとく地に太く根を伸ばし、枝をより大きく広げることを願ってやまない。


天プラ・セレクション推薦委員/美術家 森山 知己


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.91 原田よもぎ展 青い国の話

[会期]2020年3月24日〜29日 [入場無料]

[時間]9時〜17時(最終日は16時まで)

[会場]岡山県天神山文化プラザ・第4展示室


原田 よもぎ Yomogi Harada

1995 大阪府生まれ、2001年から岡山在住

2018 倉敷芸術科学大学 芸術学部デザイン芸術学科日本画研究室 卒業

2020 倉敷芸術科学大学大学院 芸術研究科美術専攻日本画研究室 修了


現在 倉敷芸術科学大学大学院 芸術研究科芸術制作表現専攻 博士後期課程 在籍


個展

2020 天プラ・セレクションvol.91 原田よもぎ展「青い国の話」(岡山県天神山文化プラザ)


主な活動

2018年度版倉敷芸術科学大学 大学パンフレット表紙 内開き挿絵

2020年度版倉敷芸術科学大学 大学パンフレット表紙 挿絵


主な賞歴

2016 第34回 上野の森美術館大賞展 入選

2017 第35回 上野の森美術館大賞展 入選

2018 倉敷芸術科学大学卒業修了制作展 買い上げ賞

2020 倉敷芸術科学大学大学院修了制作展 芸術研究科賞/加計美術館大賞


原田 よもぎ Instagram

出品一覧

タイトル|素材/形状|サイズ(cm)|制作年 はじまりの木|鳥の子紙、水干絵具、胡粉、岩絵具、銀箔、ガラス、貝殻、染料、雲母|182×546.8|2019


底の、灯台|鳥の子紙、胡粉、水干絵具、岩絵具、雲母、青貝粉|163×184.5|2020


群れまじる|鳥の子紙、水干絵具、胡粉、岩絵具、雲母、盛上、染料、銀箔|227.5×148.5|2019


鈴が鳴る|鳥の子紙、水干絵具、胡粉、岩絵具、染料、銀箔|73×73|2019


ゆら|鳥の子紙、胡粉、水干絵具、岩絵具|71×32・6点|2019


海鳴り|胡粉、水干絵具、岩絵具、盛上|22.1×16|2019


貝の唄|薄美濃紙、胡粉、水干絵具、岩絵具|直径20|2019


青い石にすむ|胡粉、水干絵具、岩絵具、雲母、貝殻、銀箔、石、薄美濃紙/屏風|133×88.3|2020


星をのせた蛸|金箔シート、胡粉、水干絵具、岩絵具、雲母/屏風|61×61|2019


今朝|薄美濃、胡粉、水干絵具、岩絵具、雲母|162×130|2019


旅のはじまり|絹、胡粉、水干絵具、岩絵具、雲母|116.7×91|2018〜2019


花屋|絹、胡粉、水干絵具|72.7×91|2019


Frozen|絹、水干絵具、胡粉/インスタレーション|16×12・102点|2018〜2020


そらをとぶ|絹、胡粉、水干絵具|33×24・2点|2018


釣り人|絹、胡粉、水干絵具|38×30|2018


いきするいえ|絹、胡粉、水干絵具、金泥|33×24|2020


 

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本記事は、2019年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.91 原田よもぎ展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:2020年4月30日

印刷:株式会社 三浦印刷所

編集:加藤淳子[岡山県天神山文化プラザ]

デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]

撮影:加賀雅俊[べあもん]

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


令和元年度・令和2年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2019年5月28日〜2021年2月28日の期間に開催された6人の各展覧会の個別の小冊子を合本し、2年間の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 二乃本 曙暢 展|Vibration ―鼓動―|天プラ・セレクションVol.89

  • 岡本 汐加 展|―Process: play with the site―|天プラ・セレクションVol.90

  • 原田 よもぎ 展|青い国の話|天プラ・セレクションVol.91

  • 諸川 もろみ 展|ポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプ|天プラ・セレクションVol.92

  • 大橋 裕子 展|まだ見ぬものたち|天プラ・セレクションVol.93 

  • 山口 深里 展|浮島|天プラ・セレクションVol.94


カラー52ページ

税込1,000円


※各展覧会の個別の小冊子も発行しています(カラー8ページ/税込200円)


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。

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