そこに私が関わった時間、関わった痕跡、
これまでの歩み、感情の変化、
日々の向き合いの中でのものごとのうつりかわり、
そんなものが積もって集まったような塊の表現になればと考えています。
大間光記
Exhibition Review
大間光記さんは、矢掛町在住の彫刻家だ。岡山での本格的な初個展は、『集積』と題した独自の世界観を感じる展覧会であった。
天井のスポット照明から照らされた3つの柱状と海上に浮かんだ島のような大小数個の点在する平らなかたち。この対比する作品たちが、そこに決められたように置かれた静かな印象。柔らかく強い空間を伝える。
さらに、どの作品の表面にも柔らかく細かい無数の曲線のように彼が石を辿った痕跡(ハツリ跡)がある。その線の中心には石の中から湧き出るような球形が刻まれている。繊細なその表現は、各作品の大きな形態を超えた繋がりを感じさせるもうひとつのかたちである。
壁には、同様な表現のレリーフ状の壁掛けの小作品。特に白大理石は、触りたくなるような心地よい質感で、思わず見入ってしまう。
ドローイングも彼の思いが素直に作品に映し出されており、内在する強い想いを感じた。
私が大間さんと最初に出会ったのは、宮崎の展覧会だった。積極的で真面目な印象の作家であり、それは今も変わらない。
数年後、矢掛町で開催された石彫シンポジウムで再会し、同じ仕事をする仲間となった。その後、彼は矢掛町に移住し黙々と制作している。
新作に出会う度にその深度を増してゆく作品。今一番楽しみな作家である。次はどんな空間を魅せていただけるのか。待っている!
彫刻家/一般社団法人岡山県美術家協会 事務局長 小林 照尚
岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.99 大間光記展 集積
[会期]2023年1月31日〜2月5日 [入場無料]
[時間]9時30分〜17時(最終日は16時まで)
[会場]岡山県天神山文化プラザ・第4展示室
大間 光記 Ohma Mitsunori
1981 愛知県名古屋市生まれ
2007 金沢美術工芸大学 大学院美術工芸研究科彫刻専攻 修了
主な活動
2006 国交樹立50周年記念 日本・ネパールHARMONY彫刻シンポジウム(ネパール)
2008 第19回 富嶽ビエンナーレ展(静岡県立美術館)[第20回]
2010 SCULTURA VIVA シンポジウム(イタリア サンベネデット・デル・トロント)
2011 第6回 大黒屋現代アート公募展(板室温泉 大黒屋/栃木)[第7回]
2013 願成寺古墳群美術展(願成寺西墳之越古墳群一帯/岐阜)['15、'17]
2013 Light(/&)Shadow vol.0 大間光記 小西光裕 展(casa VIENTO/沖縄 伊江島)
2015 石彫の現況2015(長泉院附属 現代彫刻美術館/東京)
2019 岡山現代彫刻の断片 vol.3【抽象−多様化するイメージ】(奈義町現代美術館/岡山)
2019 個展(なうふ現代/岐阜)
2019 美作三湯芸術温度 2019(奥津温泉 花美人の里/岡山)['22]
2020 第13回 岡山県新進美術家育成I氏賞選考作品展(岡山シティミュージアム)
2022 其々、日々、(岡アートギャラリー/岡山)
2022 ザ・のみぎりズム 2022(矢掛町西町特設広場/岡山)
2022 おいでまい祝祭 2022〜心がつながる街ごとアート〜(THE CHELSEA BREATH/香川)
2023 天プラ・セレクションvol.99大間光記展「集積」(岡山県天神山文化プラザ)
出品一覧
タイトル|素材/技法|サイズ(cm)|制作年
凹凸1|花崗岩|90×47×45|2023
凹凸2|花崗岩|77×36×36|2023
凹凸3|花崗岩|78×38×38|2023
うつりかわりゆくもの|花崗岩|サイズ可変|2022
岐|花崗岩|12.2×16.5×17.3|2020
うつりかわりゆくもの|花崗岩|4.7×20.5×28.5|2020
源|安山岩|17×16.5×16.7|2020
うつろい|花崗岩|16.3×16.3×15|2020
岐|花崗岩|12.8×20×20|2020
はじまりのかたち|花崗岩|10.4×17×17|2019
はじまりのかたち|安山岩|25×20×23|2019
はじまりのかたち|花崗岩|18×32×26|2019
stone drawing1|花崗岩|15.5×19.5×3.5|2019
stone drawing2|大理石|15×15×4|2019
stone drawing3|大理石|15×15×4|2019
drawing1|紙、鉛筆、木炭|62.2×47.2|2023
drawing2|紙、鉛筆、木炭|62.2×47.2|2023
drawing3|紙、鉛筆、木炭|62.2×47.2|2023
サイト訪問者からの連絡受付
事務局経由で受け付ける
本記事は、令和4年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.99 大間光記展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。
発行:岡山県天神山文化プラザ
発行日:2023年3月10日
印刷:株式会社 三浦印刷所
編集:加藤淳子[岡山県天神山文化プラザ]、須波 葵枝[岡山県天神山文化プラザ]
デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]
撮影:加賀雅俊[べあもん]
<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>
令和3年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集
※各展覧会の個別の小冊子(カラー8ページ/税込200円)
松村 晃泰 展|視線の行方|天プラ・セレクションVol.95
直原 清美 展|時を織り、その向こうに見えるもの|天プラ・セレクションVol.96
寺尾 佳子 展|WATERMARK|天プラ・セレクションVol.97
令和4年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集
※各展覧会の個別の小冊子(カラー8ページ/税込200円)
藤飯 千尋 展|UNIVERSE|天プラ・セレクションVol.98
大間 光記 展|集積|天プラ・セレクションVol.99
お問い合せ
〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ
TEL 086-226-5005
FAX 086-226-5008
メール tenplaza@o-bunren.jp
受付時間 9:00~18:00
休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)
「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。